楽譜作成ソフトを探していると、FlatとSoundsliceはどちらも候補に挙がりますが、両者の設計思想は大きく異なります。どちらもブラウザ上で動作し、五線譜での記譜ができますが、Flatが楽譜の作成と共同編集を軸にしたマルチデバイス対応のエディターであるのに対し、Soundsliceは実際の録音に合わせて再生できるインタラクティブな楽譜を軸に、練習や指導に使えるよう作られています。この「Flat vs Soundslice」の比較記事では、それぞれが本当に得意とすること、対応プラットフォーム・編集機能・料金・再生機能の違い、そしてどんなミュージシャンにどちらが向いているのかを見ていきます。以下で紹介する機能と料金は、いずれも2026年時点で各製品の公式サイトとドキュメントを確認したものです。

結論を先に
Flatはマルチデバイス対応の楽譜作成エディターです。ブラウザ上で動くほか、Mac、Windows、iOS、Androidのネイティブアプリとしても使え、オンラインでもオフラインでも作業でき、すべてのデバイス間で楽譜が同期されます。あらゆる楽器のための作曲と共同編集を軸に設計されています。一方のSoundsliceは、インタラクティブな(いわば「生きた」)楽譜のためのブラウザベースのプラットフォームです。五線譜やタブ譜を書けるうえ、最大の特長は、楽譜を実際の音声や映像の録音に同期させ、それに合わせて演奏したり、テンポを落としたり、区間を繰り返し再生したりして、練習や指導に使えることです。どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。複数のデバイスでの作曲、オフライン利用、リアルタイムの共同編集を重視するならFlatを、実際の演奏に合わせた練習やインタラクティブなレッスン作りが目的ならSoundsliceを選ぶとよいでしょう。
| Flat | Soundslice | |
|---|---|---|
| 対応環境 | ブラウザ+Mac、Windows、iOS、Androidのネイティブアプリ(ブラウザからはChromebookやLinuxにも対応) | ブラウザのみ。パソコン・スマートフォン・タブレットに対応(ホーム画面に追加可能。ネイティブアプリはなし) |
| 音符の入力 | マウス、パソコンのキーボード、MIDI、タッチ操作 | マウス、パソコンのキーボード、MIDI |
| オフライン対応 | はい | いいえ(インターネット接続が必要) |
| デバイス間のクラウド同期 | はい | はい(アカウント単位、ブラウザ上) |
| 無料プラン | はい(無料プラン、最大15曲まで) | はい(無料プラン、エディターで作れる曲数は無制限) |
| 有料プラン | Flat Power(任意。サブスクリプションまたは買い切り) | サブスクリプション(Plus、Teacher、Licensing) |
| リアルタイム共同編集 | はい | いいえ(代わりに教師と生徒の共有、コース、フィードバック機能を提供) |
| 楽譜と実際の音声・映像の同期 | いいえ | はい(中核機能) |
| 主な用途 | あらゆる楽器に対応する使いやすい記譜と、共同編集 | 録音に同期したインタラクティブな楽譜による練習と指導 |
| 再生 | 180種類以上の内蔵楽器音 | 合成音による再生+実際の録音に合わせた演奏 |
FlatとSoundsliceはそれぞれどんなソフトか
Flatは、ほぼどこでも使える楽譜作成エディターです。インストール不要でどのウェブブラウザからでも開けますし、Mac、Windows、iOS、Android向けのネイティブなFlatアプリでも作業できます。オンラインでもオフラインでも動作し、楽譜はアカウントに保存されるため、次にどのデバイスを手に取っても同期された状態で続けられます。音符の入力は、マウス、パソコンのキーボード、MIDIキーボード、タッチ操作など、使っているデバイスに合った方法で行えます。無料プランには、最大15曲までの中核的なエディター、リアルタイム共同編集、MIDIからの採譜、MusicXMLとMIDIのインポートが含まれます。有料のFlat Powerプランでは、曲数無制限、180種類以上の楽器音、高度なエクスポート機能が追加されます。
Flatは、ピアノ独奏曲からフルオーケストラまで、あらゆる編成の五線譜を書けます。そして最大の特長は共同編集です。共有ドキュメントのように、複数の人が同じ楽譜を同時に開いて編集できます。この点と、どのデバイスのブラウザでも動くという点から、Flatは教室や、一緒に音楽を作って共有する人たちの間でよく使われています。
Soundsliceは、インタラクティブな楽譜を軸にしたブラウザベースのプラットフォームです。本格的な記譜・タブ譜エディターを備えていますが、他と一線を画すのは、楽譜を実際の音声や映像の録音、YouTubeのクリップ、MP3、動画ファイルと同期できる点です。これにより、聴きながら実際の演奏に楽譜が追従します。その録音を音程を変えずにゆっくり再生したり、特定の区間を繰り返したりでき、楽譜を練習用や指導用の教材として使えます。エディターはギターのタブ譜に強く、ベンド、スライド、ハーモニクスといった奏法にも対応します。さらにSoundsliceは、その周辺にコース機能、生徒との共有、教師向けの非公開フィードバックを用意しています。Flatが複数のデバイスに広がり、作曲と共同編集を中心に据えているのに対し、Soundsliceは一つのこと、つまり楽譜を学んだり教えたりするためのインタラクティブな教材に変えることを深く掘り下げています。
インタラクティブな再生、練習、指導
ここが両者の最も大きく分かれるところなので、音符を書き終えたあとにそれぞれ何ができるのかを詳しく見ておく価値があります。
実際の録音に合わせて演奏する。Soundsliceの真骨頂は、楽譜を実際の演奏に同期させることです。YouTubeの動画、MP3、動画ファイルを添付して楽譜と位置を合わせられるので、聴きながら、テンポを落としながら、繰り返しながら、実際の奏者に音符が追従します。おかげで、耳と目の両方で一曲を覚えたり、特定の演奏がどう成り立っているかを研究したりするのに向いています。Flatは180種類以上の内蔵楽器音で楽譜を再生し、テンポの調整、区間の繰り返し、パートのミュートができます。自分が書いたものを確認したり、聴ける形の下書きを共有したりするには十分ですが、楽譜を別途用意した実際の録音に合わせることはできません。
練習ツール。どちらも、ある一節を練習するための基本機能、つまりテンポを落とすことと区間の繰り返しを備えています。Soundsliceはこうした学習を中心にプレーヤー全体を組み立てており、音程を保ったままのテンポダウン、カウントイン、五線譜とタブ譜の両方での移調に対応します。Flatの再生機能はテンポ、区間の繰り返し、パートのミュートに対応しており、自分が書いたものを聴いて確認できます。
指導とレッスン。両者は指導へのアプローチが異なります。Soundsliceはレッスンの提供を前提に作られており、教師向けプラン、曲をコースにまとめる機能、生徒との安全な共有、非公開のフィードバック、生徒からの提出物の回収などを備えています。さらにその技術は他のサイトに埋め込むこともでき、これが教則本の出版社に使われている理由です。一方Flatは、リアルタイムの共同編集と教育向け製品を通じて指導に取り組みます。クラス全員がその場で一緒に楽譜を書いて編集し、課題を通じて提出できます。片方は練習とレッスン提供のためのプラットフォームであり、もう片方は一緒に音楽を書く場です。
| 練習と再生 | Flat | Soundslice |
|---|---|---|
| 実際の音声・映像に合わせた演奏 | いいえ | はい(YouTube、MP3、動画) |
| 音程を変えずにテンポを落とす | テンポ調整 | はい |
| 区間の繰り返し | はい | はい |
| 内蔵の再生音 | 180種類以上の楽器音 | 合成音による再生 |
| 指導の形態 | リアルタイム共同編集+Flat for Education | コース、生徒との共有、非公開フィードバック |
| インタラクティブなレッスンと埋め込み | 共有可能な楽譜 | はい(コース、埋め込み) |
作業できる場所と、共同での作業
利用できる環境という点で、両者ははっきり分かれます。Flatは最も幅広い環境で動きます。どのウェブブラウザでも使えるので、Chromebook、学校のパソコン、借りたノートパソコン、Linuxマシンのいずれでも、何もインストールせずに作業できます。専用アプリやオフラインでの作業をしたいときのために、Mac、Windows、iOS、Androidのネイティブアプリも用意されています。すべてがアカウントに紐づいているので、デスクトップで書き始めた楽譜は、1分後にはスマートフォンでも、オンラインでもオフラインでも、中断したところからそのまま続けられます。
Soundsliceも、パソコン・スマートフォン・タブレットのどのブラウザでも動き、ホーム画面に追加すればアプリのように開けます。ただし独立したネイティブアプリはなく、以前のオフラインモードは廃止されたため、動作にはインターネット接続が必要です。楽譜はSoundsliceのアカウント内に保存されるので、サインインすればどのブラウザからでも呼び出せますが、接続がない環境で作業することが多いなら、Flatのオフラインアプリに分があります。
もう一つの違いは共同編集です。Flatでは、複数の人が一つの楽譜をリアルタイムで編集し、特定の小節にコメントを残し、インストール不要でどのブラウザでも開けるリンクを共有できます。これは、クラス、編曲者のグループ、あるいはファイルをメールでやり取りせずにフィードバックがほしい人に向いています。一方Soundsliceは、他の人との作業を指導の形態で扱います。複数人が同じ楽譜を同時に編集するのではなく、生徒と楽譜やコースを共有し、非公開のフィードバックを残し、提出物を回収する形です。その場での共同作曲が普段の作業の一部なら、これは日々のワークフローにおける実質的な違いになります。
料金と得られるもの
どちらもフリーミアムモデルを採用しており、どちらが安く済むかは使い方次第です。Flatの無料プランには、最大15曲までの中核的なエディターに加え、リアルタイム共同編集とインポート機能が含まれます。Soundsliceにも無料プランがあり、エディターに関しては太っ腹です。曲数無制限で作成でき、YouTube動画との同期や、MusicXMLとGuitar Proファイルのインポートを無料で行えます。
無料プランより上では、両者の仕組みが分かれます。Flatの有料オプションであるFlat Powerでは、曲数無制限、180種類以上の楽器音のフルライブラリ、高度なエクスポートが解放され、月額・年額のサブスクリプションか、一度きりの買い切り(ライフタイム)で利用できます。Soundsliceはサブスクリプションのみで、買い切りではなく機能を段階的に追加していくプラン構成です。自分のMP3や動画との同期に加え印刷とエクスポートを追加する個人向けプラン、生徒とコースを管理する教師向けプラン、そしてSoundsliceを他の製品に埋め込むためのライセンス向けプランがあります。
つまり、費用対効果の問題は、ソフトに何をさせたいかに帰着します。楽譜作成エディターを完全に自分のものとして所有し、複数のデバイスで書き、リアルタイムで共同編集したいならFlatが合います。お金をかける先が、実際の録音に同期した練習教材や、レッスンの提供であれば、Soundsliceの有料プランはそのために作られています。
どちらを選ぶべきか、そして乗り換え方
複数のデバイスやChromebookで書く場合、楽譜をリアルタイムで共同編集したい場合、オフラインアプリがほしい場合、あるいはライブラリをどこでも同期させたい場合は、Flatを選びましょう。作曲や共有を重視する学生、教師、ソングライター、作曲家はここに落ち着くことが多く、Flatは大多数の楽譜の記譜ニーズをカバーします。
目的が練習と学習、つまり実際の録音に合わせて演奏したり、一節をゆっくり再生して弾けるようにしたり、生徒と共有するインタラクティブなレッスンやコースを作ったりすることなら、Soundsliceを選びましょう。タブ譜を使うギタリストや、教則教材を提供する教師は、Soundsliceから多くを得られます。
両者を行き来できるのは、どちらも記譜の標準的な交換フォーマットであるMusicXMLに対応しているからです。Soundsliceは楽譜をMusicXMLとして書き出せるので、それをFlatに読み込めばブラウザ上で続きの作業ができます。逆にFlatもMusicXMLを書き出して、曲を反対方向へ移せます。FlatはMusicXMLのほか、MIDI、MuseScore、Guitar Pro、Power Tab、TuxGuitarのファイルもインポートできるので、既存の作業のほとんどを持ち込めます。
Flatで試してみましょう。無料アカウントを作成し、新しい楽譜にMusicXMLファイルをインポートして、どのように開けるか見てみてください。
まとめ
FlatとSoundsliceは、ブラウザベースの楽譜作成エディターという点で重なりますが、狙う用途は異なります。Soundsliceはインタラクティブな楽譜のスペシャリストです。楽譜を実際の音声や映像に同期させ、それに合わせて練習したりテンポを落としたりでき、指導用のコースやフィードバック機能も備えた、サブスクリプション型のウェブプラットフォームです。Flatはマルチデバイス対応のオールラウンダーです。あらゆる楽器に対応する楽譜作成エディターに、リアルタイム共同編集を加え、ブラウザ・デスクトップ・モバイルでオンラインでもオフラインでも動き、無料で始められます。多くのミュージシャンは両方を使い、Flatで作曲や共同編集をしつつ、Soundsliceで練習用やレッスン用の教材を作ることになるでしょう。そしていよいよ試してみたくなったら、Flatならブラウザ・デスクトップ・スマートフォンで、始めるのにダウンロードも不要で、フルスコアを書き、聴き、共有できます。Flatを無料で試す。
よくある質問
FlatはSoundsliceの代わりになりますか?
はい。ブラウザで動き、Mac、Windows、iOS、Androidのネイティブアプリとしても使え、オフラインでの利用やリアルタイムの共同編集ができ、マウス、キーボード、MIDI、タッチで音符を入力できるマルチデバイス対応の楽譜作成エディターがほしいなら、Flatは有力な選択肢です。一方でSoundsliceは、楽譜を実際の音声や映像に同期させる機能や、指導・コース機能の点で今なお独自の存在です。
Soundsliceはオフラインで使えますか、またネイティブアプリはありますか?
いいえ。Soundsliceはパソコン・スマートフォン・タブレットのブラウザで動き、ホーム画面に追加すればアプリのように開けますが、動作にはインターネット接続が必要で、独立したネイティブアプリはありません。Flatはどのブラウザでも動くほか、Mac、Windows、iOS、Androidのネイティブアプリとしても使え、オフラインでも動作します。
Soundsliceは無料ですか?
Soundsliceには無料プランがあり、曲数無制限の記譜・タブ譜エディター、YouTube動画との同期、MusicXMLとGuitar Proのインポートが含まれます。有料のサブスクリプションでは、自分のMP3や動画との同期、印刷とエクスポート、教師向け・ライセンス向けの機能が追加されます。Flatにも無料プランがあり、最大15曲までカバーします。
Soundsliceの楽譜をFlatに移せますか?
はい、MusicXMLを通じて移せます。SoundsliceでMusicXMLとして書き出し、それをFlatにインポートすれば、ブラウザ上で続きの編集ができます。FlatはMusicXMLのほか、MIDI、MuseScore、Guitar Pro、Power Tab、TuxGuitarのファイルもインポートできます。
SoundsliceはFlatのようなリアルタイム共同編集に対応していますか?
同時編集には対応していません。Soundsliceは指導を軸に作られており、生徒との楽譜やコースの共有、非公開のフィードバック、提出物の回収が中心です。Flatでは、複数の人が同じ楽譜を同時に開いて編集し、特定の小節にコメントを付けられます。