強弱(ダイナミクス)とは、楽曲における音量の変化のことで、その表現の多くを担っています。同じフレーズでも、弱く演奏するか、強く演奏するか、あるいはその間で移り変わるかによって、穏やかにも切迫したようにも聞こえます。作曲家は強弱記号を使って、演奏者にどのくらいの音量で、いつ変化させて演奏すべきかを伝えます。この記事では、ピアニッシモからフォルティッシモまでの記号、クレッシェンドやディミヌエンドといった段階的な変化、スフォルツァンドのような突然のアクセント、そして自分の楽譜に強弱を加える方法までを、Flatを使いながら解説します。

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音楽における強弱記号(ダイナミクス)とは?

すべての記号のもとになっている2つの言葉はイタリア語です。piano(略してp)は「弱く」を、forte(f)は「強く」を意味します。私たちがピアノと呼ぶ楽器の名前そのものが、pianoforte(ピアノフォルテ)の略で、それ以前のチェンバロとは違って弱くも強くも演奏できたことから、こう名づけられました。

どの記号よりも大切な考え方が一つあります。強弱は絶対的なものではなく、相対的なものだということです。forteに決まったデシベル値があるわけではありません。独奏フルートのforteと、フルオーケストラのforteでは、音量はまったく異なります。記号は、決まった音量ではなく、その一節の文脈のなかでどのくらいの強さで演奏すべきかを演奏者に伝えるものです。この相対性こそが、強弱を機械的なものではなく表現豊かなものにしているのです。

強弱の段階:ピアニッシモからフォルティッシモまで

ほとんどの記号は、pianoとforteに2つの修飾語を組み合わせて作られています。mezzo(m)は「中くらいに」という意味で、mezzo-pianoは「やや弱く」、mezzo-forteは「やや強く」を表します。語尾の-issimoは「非常に」という意味なので、pianissimoは「非常に弱く」、fortissimoは「非常に強く」となります。この語尾をさらに重ねると、作曲家が曲のごく限られた場面のためにとっておく極端な強弱にたどり着きます。

一般的な段階を、弱い方から強い方へ並べると次のようになります。

記号イタリア語意味
ppppianississimo極端に弱く
pppianissimo非常に弱く
ppiano弱く
mpmezzo-pianoやや弱く
mfmezzo-forteやや強く
fforte強く
fffortissimo非常に強く
ffffortississimo極端に強く

ほとんどの音楽はppからffの間で書かれています。pppやfffといった極端な強弱は、作曲家がより大きなコントラストを求めるときに現れ、さらにその先まで押し広げる楽譜もありますが、日常的に使われる範囲はppからffまでの6段階です。多くの演奏者は、mezzo-forteを基準となる中間の音量ととらえ、それを中心にほかのすべてを組み立てていきます。

段階的な変化:クレッシェンドとディミヌエンド

一つの記号は、ある音量のレベルを指定します。レベルからレベルへ移るために、作曲家は段階的な変化を使います。クレッシェンド(cresc.)はだんだん強く、ディミヌエンド(dim.)またはデクレッシェンドはだんだん弱くを意味します。どちらも「松葉(ヘアピン)」の形で書かれることが多く、開いていくくさび形がクレッシェンド、閉じていくくさび形がディミヌエンドを表します。松葉記号と文字で書かれた言葉は、同じ意味です。

変化のペースを調整することもできます。poco a poco crescendoは、多くの小節にわたって少しずつ強くという意味で、一方、2小節に凝縮されたクレッシェンドは、切迫して息もつかせぬような印象を与えます。

ラヴェルの『ボレロ』は、その典型例です。一つの旋律が繰り返されるなか、オーケストラはほとんど聞こえないほどの小太鼓とフルートから始まり、やがて全合奏へと膨らんでいきます。一つの長いクレッシェンドが曲全体を貫いているのです。うまく演奏されれば、そのゆるやかな高まりは、どんな突然の変化よりも聴衆を強く引きつけます。

突然のアクセント:スフォルツァンド、フォルテピアノ、スビト

すべての変化が段階的とは限りません。ある瞬間に一気に効かせる記号もあります。スフォルツァンド(sfzまたはsf)は、一つの音符や和音に付ける突然の強いアクセントで、周囲から際立つ鋭い押し出しです。フォルテピアノ(fp)は、強く、そしてすぐに弱くという意味で、打ち込んだ直後に音量を落とします。subito(スビト)という言葉は「突然に」という意味で、組み合わさる記号の効果を鋭くします。たとえばsubito pianoは、だんだんではなく一瞬で弱くという意味です。

ハイドンは、「驚愕」の愛称で知られる交響曲第94番で、最も有名な突然の変化の一つを書きました。第2楽章は、穏やかな主題が弱く奏でられて始まり、弦楽器がそれをさらに静かに繰り返したあと、突如としてフルオーケストラがフォルティッシモの和音を一つ打ち鳴らし、何事もなかったかのように再び静けさへと戻っていきます。まさに教科書どおりのsubitoの瞬間で、予兆のない突然の変化です。この和音は、居眠りする聴衆に向けたものだと昔から言われています(ハイドン自身はその逸話を否定していますが)。

Flatで強弱記号を入力する方法

Flatでは、強弱記号は特殊な文字を探し回る必要はなく、数回のクリックで入力できます。変化を始めたい音符を選択し、強弱ツールを開いて、ppからffまでの記号を選ぶだけです(キーボードのショートカット1から6が、ピアニッシモからフォルティッシモに対応しています)。段階的な変化には、適用したい音符の範囲にクレッシェンドやディミヌエンドの松葉記号を加えます。

Flatで試してみましょう。8音の短いフレーズを入力し、最初の音符にp、最後の音符にfを付けて、その間にクレッシェンドの松葉記号を加え、再生ボタンを押します。Flatは再生中に記号を読み取るので、音の高まりを目で見るだけでなく、耳で聴くことができます。次に、そのクレッシェンドを最後の音符に付けた一つのスフォルツァンドに置き換えて、同じフレーズがどれほど違って感じられるかを聴いてみてください。

記号の一覧と、Flatが再生時にそれらをどう解釈するかについては、強弱記号の入力・削除のヘルプガイドをご覧ください。

まとめ

強弱は、正確なだけの演奏を、表現豊かな演奏へと変えます。ピアニッシモからフォルティッシモまでの段階が音量のレベルを決め、クレッシェンドとディミヌエンドがその間を移り変わり、スフォルツァンドのようなアクセントが際立たせるべき瞬間を印づけます。そのどれもが決まった音量に縛られているわけではなく、すべては周囲の音楽との関係のなかで働きます。それこそが、演奏者に解釈の余地を与えているのです。その違いを身につける一番の近道は、実際に聴いてみることです。

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